食事療法

高タンパク食で高齢の進行がん患者の生存率が改善

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低栄養状態と筋力(筋肉量)の低下は、がん(とくに消化器のがん)患者にみられる特徴のひとつです。

栄養不良と筋力低下は、がんの治療によってさらに悪化することがあり、結果的に生存率が低下する原因となります。

こういった事態をさけるためには、がん治療中でも、食事からのタンパク質をしっかりと摂取する必要性があることはわかっていました。

一方で、高タンパク質の食事が、がん患者さんの生存率にどのような影響を及ぼすか(つまり、実際にタンパク質を多く摂っているがん患者は長生きするのか?)といった研究は少ないのが現状です。

今回は、海外から報告された「消化器がん患者における高タンパク食と生存率との関係」についての研究結果を紹介します。

高齢の消化器がん患者における高タンパク質ダイエットは生存率を改善

治療中の高齢がん患者(91人)を対象としたレトロスペクティブ(後ろ向き)研究です。

がんの種類は、消化器がん(食道がん、胃がん、膵臓がん、小腸がん、肝臓がん)でした。

おもに進行がん患者が多く、ステージIIIとIVが65%以上でした。

治療の内容は、手術、抗がん剤、放射線治療とさまざまでした。

これらの患者において、24時間の食事内容アンケート調査により、食事中のタンパク質、糖質、および脂質などの栄養組成を調べました。

食事中のタンパク質摂取量を基準に、

  • 高タンパク食(体重あたり≧1.5g/1日)
  • 低タンパク食(体重あたり<1.5g/1日)

の2つのグループに分類しました。

結果を示します。

■すべての患者のおよそ30%が高タンパク食でした。

■2つのグループ間において、年齢、性別、がんの種類、ステージ、治療内容などの背景因子に差はありませんでした。

■高タンパク食のグループでは、低タンパク食のグループと比べて、ロイシン、カロリー、および脂質量の摂取量が高くなっていました。

■2つのグループ間において、体重減少および握力に明らかな差はみられませんでした。

■一方で、全生存期間は、低タンパク食のグループが7.3ヶ月(中央値)であったのに対して、高タンパク食のグループでは14.7ヶ月と有意に延長していました(P = 0.04)

これらの結果より、高タンパク食は、進行したがん患者の予後を改善する可能性があると結論づけています。

がん患者にすすめられるタンパク質の摂取量は?

がん患者さんにすすめられるタンパク質の摂取量については、まだ確立された基準はありません。

欧州臨床栄養代謝学会(ESPEN)のガイドラインによると、がん患者には高タンパク食(体重あたり1.2 g~2.0 g/1日)を推奨しています。

今回の研究では、体重あたり≧1.5g/1日を高タンパク食のグループと定義しています。

つまり、体重50Kgの人では、1日のタンパク質摂取量が75g以上ということになります。

タンパク質が豊富に含まれる主な食品には、肉、魚、卵、豆類、乳製品があります。

おざっぱにいえば、タンパク質の量は肉(牛、豚、鶏肉)では100gあたり20g前後、豆腐は一丁(約300g)あたり20g程度、卵は1個で6g程度、牛乳はコップ1杯(200ml)あたり6.5です。

これらを上手に組み合わせて、一日に必要なタンパク質がとれるようにメニューを考えましょう。

手元に、食品別のタンパク質量の一覧表や本などを置いておくと便利です。

プロテインでタンパク質を補充しましょう

一方で、この量のタンパク質を食事だけで摂ることは、結構たいへんです。

そこで、「プロテイン」で補うのもいいと思います。

プロテインには、ホエイプロテイン、ソイプロテイン、あるいはカゼインプロテインなどがありますが、吸収の早いホエイプロテイン(乳清タンパク質)がおすすめです。

以前は「プロテインはマズい」ことで有名でしたが、最近のプロテインは正直おいしいです。

また、さまざまな味やフレイバーのプロテインが販売されていますので、好みのものを選んでください。

1食で、およそ20~30gのタンパク質が摂取できます。

 

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  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

医師(産業医科大学 第1外科 講師)、医学博士。消化器外科医として診療のかたわら癌の基礎的な研究もしています。 標準治療だけでなく、代替医療や最新のがん情報についてエビデンスをまじえて紹介します。がん患者さんやご家族のかたに少しでもお役に立てれば幸いです。

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