ミドリムシ(ユーグレナ)は原始の地球で誕生した生き物で、非常に小さな微生物(淡水に育つ藻の一種)です。
ミドリムシは、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸など59種類もの豊富な栄養素を含み、また二酸化炭素を吸収して成長する特徴も持つことから、食糧危機や環境問題を解決する生物として期待されています。
日本のベンチャー企業「ユーグレナ」は、「ミドリムシが地球を救う」という壮大なテーマをかかげ、ミドリムシの大量培養を成功させ、栄養補助食品(サプリメント)や化粧品の販売などで急成長しています。
また、これまでの研究によると、ミドリムシにはがんの成長を抑えるという作用もあることが分かっています。
今回、ミドリムシの成分であるユーグレノフィシンに、細胞および動物実験において大腸がんの増殖・進行を抑える作用があることが発見されました。
近い将来、ミドリムシが新たな抗がん作用をもつ薬剤の原料として開発・使用される可能性があります。
ミドリムシの成分(イクオトキシン)、ユーグレノフィシンが大腸がんの成長を抑制
研究者らは、ミドリムシ(Euglena sanguinea)から抽出されたイクオトキシン(魚に対して有毒な化合物)のひとつであるユーグレノフィシン(euglenophycin)について、以下の実験を行いました。
・大腸がん細胞の増殖・コロニー形成能に対する効果
・大腸がん細胞のオートファジーへの影響
・大腸がんの遊走(運動する能力)に対する効果
・動物(マウス)に移植した大腸がんの成長に対する効果
結果を示します。
以上の結果より、ミドリムシの成分ユーグレノフィシンは大腸がんの増殖や遊走を抑制することがしめされました。
今後、ユーグレノフィシンを用いた新たな抗がん剤の開発が待たれます。
「ミドリムシが地球を救う」だけでなく、「ミドリムシががん患者を救う」可能性があります!