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ミドリムシ(ユーグレナ)の成分ユーグレノフィシンに癌の治療効果あり!新しい研究結果

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ミドリムシ

ミドリムシ(ユーグレナ)は原始の地球で誕生した生き物で、非常に小さな微生物(淡水に育つ藻の一種)です。

ミドリムシは、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸など59種類もの豊富な栄養素を含み、また二酸化炭素を吸収して成長する特徴も持つことから、食糧危機や環境問題を解決する生物として期待されています。

日本のベンチャー企業「ユーグレナ」は、「ミドリムシが地球を救う」という壮大なテーマをかかげ、ミドリムシの大量培養を成功させ、栄養補助食品(サプリメント)や化粧品の販売などで急成長しています。

また、これまでの研究によると、ミドリムシにはがんの成長を抑えるという作用もあることが分かっています。

今回、ミドリムシの成分であるユーグレノフィシンに、細胞および動物実験において大腸がんの増殖・進行を抑える作用があることが発見されました。

近い将来、ミドリムシが新たな抗がん作用をもつ薬剤の原料として開発・使用される可能性があります。

ミドリムシの成分(イクオトキシン)、ユーグレノフィシンが大腸がんの成長を抑制

Therapeutic effects of the euglenoid ichthyotoxin, euglenophycin, in colon cancer. Oncotarget. 2017 Nov 1;8(61):104347-104358. doi: 10.18632/oncotarget.22238. eCollection 2017 Nov 28.

研究者らは、ミドリムシ(Euglena sanguinea)から抽出されたイクオトキシン(魚に対して有毒な化合物)のひとつであるユーグレノフィシン(euglenophycin)について、以下の実験を行いました。

・大腸がん細胞の増殖・コロニー形成能に対する効果

・大腸がん細胞のオートファジーへの影響

・大腸がんの遊走(運動する能力)に対する効果

・動物(マウス)に移植した大腸がんの成長に対する効果

結果を示します。

■ ユーグレノフィシンは大腸がんの増殖およびコロニー形成能を阻害した(下図)

ユーグレノフィシン コロニー形成阻害作用

■ ユーグレノフィシンは、一部の大腸がん細胞のオートファジーを減少させ、一方で他の大腸がん細胞のオートファジーを増加させた。
■ ユーグレノフィシンは、大腸がん細胞の遊走を阻害した。
■ ユーグレノフィシンは、マウス大腸がん移植モデルにおいて、抗がん剤(CPT-11:イリノテカン)と同様、腫瘍の成長を阻害した(下図)

ユーグレノフィシン マウス大腸がんモデル

 

以上の結果より、ミドリムシの成分ユーグレノフィシンは大腸がんの増殖や遊走を抑制することがしめされました。

今後、ユーグレノフィシンを用いた新たな抗がん剤の開発が待たれます。

「ミドリムシが地球を救う」だけでなく、「ミドリムシががん患者を救う」可能性があります!

  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

医師(産業医科大学 第1外科 講師)、医学博士。消化器外科医として診療のかたわら癌の基礎的な研究もしています。 標準治療だけでなく、代替医療や最新のがん情報についてエビデンスをまじえて紹介します。がん患者さんやご家族のかたに少しでもお役に立てれば幸いです。

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