大腸癌の術後抗がん剤治療(FOLFOX/XELOX)は6ヶ月続けるべきか?ランダム化比較試験

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進行大腸がんに対する治療として、切除のあとにオキサリプラチンフッ化ピリミジン系の併用による6ヶ月間(半年)の術後抗がん剤療法(術後補助化学療法)が標準治療として確立されています。

しかしながら、オキサリプラチン(エルプラット)には末梢神経障害(手足のしびれ)という副作用があり、特に長期にわたって投与することで蓄積し、悪化していくことが問題となっています。

したがって、末梢神経障害を最小限にとどめて生活の質の低下を防ぐためには、より短期間の投与が望まれています。

今回、リンパ節転移をともなうステージ3の大腸がん患者を対象として、FOLFOXまたはXELOX(CapeOXあるいはCAPOX)による補助化学療法の期間について、6ヶ月と3ヶ月の治療成績(生存率)を比較したランダム化試験がおこなわれました。

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大腸がんに対するFOLFOXおよびXELOX療法

FOLFOX(フォルフォックス)療法とは、フルオロウラシル(5-FU)、ロイコボリン、およびオキサリプラチン(エルプラット)の3剤併用治療です。日本では投与量などを調整したmFOLFOX6が行われています。

XEROX(ゼロックス)療法(あるいはCapeOX、CAPOX)は、カペシタビン(ゼローダ)とオキサリプラチン(エルプラット)の2剤を併用するレジメンです。 

ともに、切除不能な進行・再発大腸がんの1次または2次治療、および術後の補助抗がん剤治療として使われます。

術後補助化学療法としては、6ヶ月間の投与が標準治療として確立されています。

おもな副作用としては、骨髄抑制(好中球減少、貧血など)、吐き気・嘔吐、下痢、口内炎、脱毛などがありますが、日常生活に支障をきたすものとしてオキサリプラチン(エルプラット)による末梢神経障害(手足のしびれ)があります。

この末梢神経障害は、投与期間が長くなると蓄積してくるという特徴があります。

大腸がんに対する術後補助化学療法の最適な期間については、これまでしっかりとしたエビデンスはありませんでした。

ステージIII大腸癌に対する術後補助化学療法:6ヶ月 v.s. 3ヶ月

今回、大腸がんに対する術後補助化学療法の期間について、6ヶ月と3ヶ月の治療成績を比較するランダム化試験が行われました。

Duration of Adjuvant Chemotherapy for Stage III Colon Cancer. N Engl J Med. 2018 Mar 29;378(13):1177-1188. doi: 10.1056/NEJMoa1713709.

【対象と方法】

ステージ3大腸癌に対する術後補助化学療法の期間(6ヶ月対3ヶ月)をランダムに比較する6つの第III相臨床試験(12カ国)の前向きプール解析を行いました。

対象は、ステージ3(リンパ節転移陽性)の大腸がん患者で、術後にFOLFOXまたはXELOXを6ヶ月または3ヶ月間投与しました。

主要評価項目は3年次の無再発生存率(DFS)であり、95%信頼区間の上限が1.12以下の場合、6ヶ月に対して3ヶ月が非劣性(劣っていない、つまり同等であるということ)であるとしました。

【結果】

■ 全体で12,834人のステージ3大腸がん患者が今回の試験の評価基準を満たしていました。
■ FOLFOXとXELOXをふくめた全体の解析では、6ヶ月に対する3ヶ月の非劣性は証明されませんでした(ハザード比 1.07; 95%信頼区間, 1.00~1.15)(下図)。

大腸癌 術後補助化学療法 6ヶ月対3ヶ月 

■ レジメン別で解析したところ、3ヶ月の6ヶ月に対する非劣性はXELOXでは証明されたが、FOLFOXでは証明されませんでした
■ ステージ3のなかでもより進行した例(T4、N2、あるいはその両方)における解析では、3ヶ月に対して6ヶ月のほうが有意に無再発生存率が良好でした(ハザード比1.12; 95%信頼区間 1.03 to 1.23; 優越性についてのP=0.01)。

【結論】

ステージ3の大腸がん患者において、FOLFOXまたはXELOXによる術後補助療法の期間として、従来より短い期間(3ヶ月)の6ヶ月に対する非劣性(同等であるということ)は証明されませんでした

しかしながら、XELOXでの治療の場合、とくに再発リスクの低い患者さんにおいては、3ヶ月と6ヶ月は同等であることが示されました。

一方で、FOLFOXでの治療では、とくに再発リスクの高い患者さんでは、6ヶ月のほうが3ヶ月よりも生存率が良好であるという結果でした。

したがって、大腸がんに対する術後補助化学療法では、どのレジメンを選ぶか、およびその期間については、再発リスクおよび副作用(末梢神経障害)とのバランスで決定するべきであると結論づけています。


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佐藤 典宏

医師、医学博士、メディカル・サプリメント・アドバイザー。 消化器外科医として診療のかたわら癌の基礎的な研究もしています。 ☞ くわしいプロフィールはこちら ☞ 標準治療、代替医療、最新のがん情報についてエビデンスをまじえて紹介します。がん患者さんやご家族のかたに少しでもお役に立てれば幸いです。☞ 当ブログが本になりました!「ガンとわかったら読む本」マキノ出版 ☞ 
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