フコイダンは、褐藻類(かっそうるい)といわれるもずく、コンブ、ワカメ(メカブ)、アカモクなどに含まれるぬめり成分(硫酸化多糖類)で、がん患者さんがよく利用するサプリメントとして有名です。
過去の研究によると、フコイダンには、がん細胞に対する抗腫瘍作用、血管新生を抑制してがんの成長・転移を阻止する作用、免疫監視機構を調節する作用、抗がん剤・分子標的薬の効果を高める作用、および疲労感を軽減し、がんや抗がん剤治療にともなう筋肉の萎縮を改善する作用などがあることが報告されています。
一方で、がん患者さんにおけるフコイダンの効果についての研究は少なく、エビデンスのレベルが低いことが指摘されていました。
今回はじめて、がん患者さんを対象として前向き試験において、フコイダンが男性がん患者のナチュラルキラー細胞(NK細胞)の活性を高めることが報告されました。
少ない患者さんによるデータですが、フコイダンががん治療に有用であることを示すひとつのエビデンスとして紹介します。
フコイダンによるがん患者のNK細胞活性化
Activation of NK cells in male cancer survivors by fucoidan extracted from Cladosiphon okamuranus. Mol Clin Oncol. 2020 Jan;12(1):81-88. doi: 10.3892/mco.2019.1943. Epub 2019 Oct 31.
日本(高崎健康福祉大学、群馬)からの報告です。
対象は、手術、抗がん剤、RFA(ラジオ波焼灼)など様々な治療を行った(転移を認めない)がん患者11人(男性7名、女性4名)です。
がんの種類は、結腸がん(2人)、肝細胞がん(2人)、咽頭がん(1人)、肺がん(1人)、乳がん(1人)、子宮頸がん(1人)、腎がん(1人)、前立腺がん(1人)、成人T細胞白血病(1人)でした。
オキナワモズク(Cladosiphon okamuranus)から抽出したフコイダン(1.5g)を1日2回(計3g)、6ヶ月にわたって摂取しました。
開始から1ヶ月おきにNK細胞の活性を測定しました。
結果を示します。
■ 全体の患者では、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の活性に有意な差は認めなかったものの、男性においては4ヶ月の時点でNK細胞の活性が有意に増加していた(P<0.05)。
■ 一方、女性においては、NK細胞の活性化は認められなかった。
■ 期間中、(原発腫瘍を治療した患者においては)がんの再発はみられなかった。
以上の結果より、男性がん患者において、フコイダン(1日3グラム)の摂取はNK細胞の活性化をもたらすことが示されたとしています。
ただし問題点として、対象となった患者さんが少ないこと(とくに女性は4名)、がんの種類や治療法が異なる患者さんが混在するグループであることなどがあります。
フコイダンを含む食品・サプリメントは?
フコイダンは、モズク、昆布、わかめ、メカブ、アカモクなどの海藻に多く含まれます。
とくに、北海道・函館周辺の海域に生息する「ガゴメ昆布」には通常の真昆布と比較すると約3倍ものフコイダンが含まれています。
またモズクではオキナワモズクにフコイダンが多く含まれています。
じつは、最近「アカモク」にはまっています。
アカモクは、褐藻類(ヒバマタ目ホンダワラ科)に属する海藻であり、他の褐藻類と比べても多くのフコイダンを含んでいるというデータがあります。
食べてみたらわかると思いますが、とにかくネバネバがすごいのです。しかも、味も結構おいしいのです。
こちらのチューブに入っているタイプが便利なので、いつも食べています。
おすすめのフコイダンのサプリメント
とはいえ、昆布やもずくを毎日は摂れないと思います。
そこで、フコイダンのおすすめサプリメントを紹介します。
沖縄フコイダン
沖縄産モズク100%使用。1瓶(180粒)にフコイダンを42グラムも含んでいます!フコイダンの含有量ではトップクラスです。
フコイダンエキス原末
沖縄モズクを原料とした、フコイダンサプリメントです。1瓶にフコイダンを25グラム含んでいます。
オリヒロ 海からの恵み フコイダン
「オリヒロ 海からの恵みフコイダン 90粒」は、メカブ由来のフコイダンのサプリメントです。1瓶(90粒)にフコイダンを9グラム含んでいます。
まとめ
がん患者において、フコイダンによる免疫細胞の活性化が示された研究結果が報告されました。
今後、より大規模な臨床研究によって証明してほしいと思います。