がんの予防 膵臓がん

膵臓がんは予防できるの?大切な3つのキーワード:禁煙、節酒、マグネシウム(ナッツ)

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膵臓がんは治療がむずかしく、いまだに「難治がん(治らないがん)」として悪名高いがんの一つです。

日本における最新のデータでは、膵臓がんの10年生存率(つまり膵臓がんが治った人の割合)は5%以下でした。

もちろん膵臓がんの治療は日々進歩しており、新しい治療薬の開発が進んでいます。いずれは治るがんになる可能性はあります。しかし現時点では、「膵臓がんにかからないこと」が最も重要であるといえるでしょう。

でも、膵臓がんは予防できるのでしょうか?

膵臓がんの危険因子(どんな人が膵臓がんになりやすいか?)

膵臓がんを予防するためには、「どんな人が膵臓がんになりやすいか」について理解する必要があります。これまでの研究により、膵臓がんの危険因子(なりやすい因子)として、以下のことが報告されています。

■親や兄弟(姉妹)に膵臓がんの人がいる人
■糖尿病の人(とくに、最近発症した人)
■膵管内乳頭粘液性腫瘍(一般的にIPMNと呼ばれています)や、膵のうほうのある人
■慢性膵炎の人
■肥満体型の人
■喫煙習慣のある人
■大量飲酒の習慣のある人

これらの危険因子が複数ある場合にはとくに注意が必要です。また、これらの危険因子のうち、改善できるものは膵臓がんの予防法へとつながります。

以下に膵臓がんの予防法について解説します。

膵臓がんの予防法

日常生活において実践可能な膵臓がんの予防には、3つのキーワードがあります。
それは、禁煙、節酒、マグネシウムです!

1.禁煙

まずは膵臓がんの危険因子として喫煙があります。
喫煙による膵臓がんの発症リスクの増加は、 吸わない人に比べて 2~4倍といわれています。
したがって、まずは禁煙が膵臓がん予防に重要です

2.節酒

1日3ドリンク(純アルコール量30g=焼酎(度数25%)コップ1杯程度)以上摂取するアルコールの多量飲酒者では、膵臓がんのリスクが1.2倍増加したという報告があります。つまり、大量飲酒は膵臓がんの危険因子であると考えられます。

節酒をこころがけましょう!

3.マグネシウム

最後に食事についての予防法です。

あまり知られてはいませんが、マグネシウムの不足が膵がんの発生に関係していることが報告されています。もともとマグネシウム不足は糖尿病のリスクを高めることがわかっていました。糖尿病は膵臓がんの危険因子の1つですので、納得できます。

実際にマグネシウムの摂取量と膵臓がん発症について調査した研究論文を紹介します。

Dibaba D., Xun P., Yokota K., White E., He K. Magnesium intake and incidence of pancreatic cancer: the VITamins and Lifestyle study. Br J Cancer. 2015;113:1615-21.

50~76歳までの6万人以上(約7年間の追跡期間に151人が膵臓がんを発症)を対象とし、食生活と膵臓がんとの関係を調査した大規模な研究です。

マグネシウム摂取量が、推奨量をみたしていた(つまり、十分マグネシウムを摂取していた)グループと比較すると、マグネシウム摂取量が推奨量の75-99%のグループでは膵臓がんの発症が1.42倍、またマグネシウム摂取量が推奨量の75%以下のグループでは膵臓がんの発症が1.76倍も高かったという結果でした。

この結果より、マグネシウム不足は膵臓がん発症率を高めることが分りました。

したがって、膵臓がんの予防には、マグネシウム不足を補う必要があります。

マグネシウムが豊富に含まれている食品は、海藻類、豆類、種実類、野菜類、魚介類、未精製の穀物などです。

東京慈恵会医科大学の横田邦信教授による、マグネシウムを豊富に含む食品の標語「そばのひ孫と孫(は)優しい子かい?納得!」を以下に紹介します。参考にされてください。

そば・・蕎麦・バナナ
の・・・のり(青のり)
ひ・・・ひじき(ひじき)
ま・・・豆類
ご・・・五穀(玄米など)
と・・・豆腐(にがり使用)
ま・・・抹茶・マカダミアンナッツ
ご・・・ごま
わ・・・わかめ
や・・・野菜(緑の濃いもの)
さ・・・魚
しい・・椎茸(干しシイタケ)
こ・・・昆布・ココア
か・・・牡蠣などの海産物
い・・・イモ類
なっ・・納豆
と・・・とうもろこし
く・・・果物・くるみ(ナッツ)

この標語を参考にし、日常の食事でマグネシウムを積極的にとるようにしましょう!

ナッツのがん予防効果

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このうち、くるみなどのナッツは、膵臓がんだけではなく、他のがんを含めた様々な病気を予防することが報告されています。

例えば地中海地方における、約2万人を4.3年間(中央値)追跡調査した大規模なコホート研究では、ナッツを全く食べない人に比べ、ナッツを少しでも食べる(月2回以下)人では死亡率が約30%低下していました。また、月8回以上ナッツを食べる人ではおよそ50%も死亡率が低下していました。このうち、がんによる死亡率も36%減少していました。

さらに、最近報告された中東地域での大規模研究では、ナッツを食べない人に比べ、ナッツを週3回以上食べる人では、消化器がん(消化管、肝臓、膵臓がん)の死亡率が44%も低かったとのことです

これらの結果から、ナッツの摂取はがん死亡率の低下と強く相関しており、この傾向は先進国だけではなく、発展途上国でもみられたと結論づけています。

がん予防(あるいはがんの再発防止)のため、ナッツを食生活に積極的にとりいれましょう!

まとめ

膵臓がんの予防には、禁煙、節酒、マグネシウムです!この3つのキーワードを心がけて毎日を過ごしましょう。

 


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  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

医師(産業医科大学 第1外科 講師)、医学博士。消化器外科医として診療のかたわら癌の基礎的な研究もしています。 標準治療だけでなく、代替医療や最新のがん情報についてエビデンスをまじえて紹介します。がん患者さんやご家族のかたに少しでもお役に立てれば幸いです。

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