最近、ブルーベリーなどの成分であるアントシアニンが、目のピント調節機能を改善したり、視界をクリアにする効果があることより、眼精疲労のサプリメントとして注目を集めています。
また、アントシアニンには抗酸化作用や炎症を抑える作用があり、心血管病の予防やダイエット(肥満やメタボリックシンドロームの予防)の効果も期待できるとのことです。
さらに、これまでの研究により、アントシアニンにはがんの予防や治療効果もあるという報告がありますが、実際にはどうなのでしょうか?
今回は、アントシアニンとがんとの関係についての研究論文を解説します。
アントシアニンとは?
アントシアニンとは、植物色素であるアントシアンに糖が結合した配糖体という物質で、ポリフェノール(光合成によってできる植物の色素や苦味の成分)の一種です。
植物は、人間におけるメラニンの代わりにアントシアニンを合成し、有害な紫外線から自分自身を守っています。
アントシアニンを多く含む食べ物としては、ベリー類(ブルーベリー、ビルベリー、カシス、ブラックベリー、アサイーベリーなど)、ブドウ、ナス、黒豆、赤ジソ、紫芋、紫キャベツなどがあります。
アントシアニンの抗がん作用
アントシアニンとがんの予防・治療についてのレビュー論文(これまでの研究をまとめた論文)が、British Journal of Pharmacology(ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー)から報告さています。
Effects of anthocyanins on the prevention and treatment of cancer (がんの予防と治療におけるアントシアニンの効果). Br J Pharmacol. 2016 Sep 20. doi: 10.1111/bph.13627. [Epub ahead of print]
この論文によると、これまでにアントシアニンとがんとの関係について以下のことが明らかとなっているとのことです。
1.がんに対する効果
アントシアニン(あるいはアントシアニンを含む食品)のがんに対する効果を調べた研究は非常にたくさんあります。
まず、細胞実験および動物実験において、アントシアニンは、様々ながん(乳がん、大腸がん、胃がん、肝臓がん、前立腺がん、肺がん、子宮頸がん、白血病など)の増殖・成長および転移を抑制すると報告されています。
また、ラットやマウスの動物発癌モデル(大腸がん、肝臓がん)において、アントシアニンはがんの発生を予防することが証明されています。
2.アントシアニンの抗がん効果のメカニズム
アントシアニンの抗がん効果のメカニズムとして、以下の様々な作用が確認されています。
■ 抗酸化作用
■ 抗炎症作用
■ 抗突然変異原性(DNAに傷が付くのを防ぐ作用)
■ 分化誘導(ぶんかゆうどう)作用(悪性細胞を正常に変化させる作用)
■ シグナル経路活性の阻害による細胞増殖抑制
■ 細胞周期停止
■ アポトーシス(細胞死)導入
■ オートファジー(自食(じしょく))の誘導
3.人での臨床研究
残念ながらこれまでのところ、人におけるアントシアニンの抗がん効果やがん予防効果を直接的に証明した臨床研究はありません。
しかしながら、アントシアニンを豊富に含むジュースを飲んだ人ではコントロールに比べ、酸化的DNA損傷が減少しており、またグルタチオン(体内の抗酸化・解毒作用を持つ物質)の値が上昇していたとする報告や、6ヶ月間にわたってアントシアニンを含むブラックベリーの粉末を飲んだグループでは、尿中のDNA損傷のマーカーが下がっていた(つまり抗酸化作用が確認された)という報告があります。
またヨーロッパでは、放射線治療を受けている乳がん患者におけるアントシアニンの有効性(放射線による炎症や皮膚毒性を軽減する効果)を調査する臨床試験が現在行われており、近々結果がでるとのことです(Br J Clin Pharmacol. 2017 Jan;83(1):103-106. doi: 10.1111/bcp.12943. Epub 2016 May 29.)。
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