腫瘍の中に存在し、抗がん剤などの治療が効かない一部のがん細胞(がんの親玉)である「がん幹細胞(Cancer stem cell)」が話題となっています。
この「がん幹細胞」は、自己複製能(自分と同じ細胞を作る能力)と腫瘍形成能(腫瘍を作る能力)が高く、栄養や酸素の少ないきびしい環境でも生き残ることができます。
また、抗がん剤や放射線治療が効きにくく、治療後に少数でも残存すると、再び腫瘍を形成する能力をもっているため、再発の原因になるといわれています。
がんを根治するためには、この「がん幹細胞」を標的とした治療が必要であると考えられます。
これまでに「がん幹細胞」を抑制する薬剤や成分を探す研究が行われてきましたが、現在利用されているサプリメントのうち、いくつかはがん幹細胞に効果があることが報告されています。
今回は、再発・転移を防いで根治を目指すための、「がん幹細胞」をターゲットにした抗がんサプリメントを紹介します。
Contents
がん幹細胞とは?
「がん幹細胞(Cancer stem cell)」とは、がんの元となる細胞のことで、腫瘍形成開始細胞(Tumor-initiating cells)とも呼ばれています。つまり(あくまで仮説ではありますが)、自ら分裂してがんの塊をつくる最初の細胞と考えられています。
「がん幹細胞」は、ある特殊な表面マーカー(CD44など、がんの種類によって異なる)を発現している細胞集団とされ、他のがん細胞とは違った特徴を持っています。以下に、「がん幹細胞」の特徴について説明します。
1.自己複製能
「がん幹細胞」は、自己複製能、つまり自分と同じ細胞を作る能力が高いといわれています。次々と分裂・複製をくり返し、がん細胞を増やしていきます。
2.腫瘍形成能
「がん幹細胞」は、例えばマウスなどに移植した場合に1つの細胞から腫瘍(がんの塊)を形成する能力を持っています。
また、「がん幹細胞」は血管やリンパ管に侵入して新たな臓器で腫瘍を形成する、いわゆる転移をおこす細胞であると考えられています。
3.多分化能
がんは、いろいろな性格の違った細胞から構成されています(腫瘍の不均一性とも呼ばれています)。「がん幹細胞」は、腫瘍を構成するいろいろな系統のがん細胞へ分化する能力(多分化能)を有しています。
4.治療抵抗性
がん幹細胞は、抗がん剤や放射線治療への抵抗性を有している(つまり効きにくい)ことが分かっています。したがって、これらの治療後に「がん幹細胞」が生き残り、再発の原因となる可能性が考えられています。
がん幹細胞に効果が期待されるサプリメント
1.ビタミンD
ビタミンDは脂溶性ビタミンで、カルシウムの吸収と骨の正常な成長を促す以外にも細胞成長、神経筋機能、免疫機能の調節、炎症の抑制効果など様々な役目を果たしています。
ビタミンDが不足するとがんを発症しやすいことが以前から指摘されており、また最近では、「血清ビタミンDの低下は乳癌の死亡率を高める」という前向き研究の結果が報告されました。したがって、ビタミンDのサプリメントによって、がんの発生や進行を抑える効果が期待されています(Nat Rev Cancer. 2014 May;14(5):342-57)。
このビタミンDの抗がん効果の1つに、「がん幹細胞」に対する抑制作用があります。実際に、
■ビタミンDが乳がん(とくにトリプルネガティブ乳がん)の「がん幹細胞」を抑制する作用(Mol Cancer Ther. 2015 Aug;14(8):1951-61など)が報告されています。
さらに、ビタミンDががん幹細胞に効くメカニズムとして、「がん幹細胞」が増殖するのに必要なシグナル経路である、Notch(ノッチ)、Hedgehog(ヘッジホッグ)、Wnt(ウィント)、およびTGF-β(ティージーエフ・ベータ)経路を抑制することが示されています。
ビタミンD(できれば他のビタミンも含めたマルチビタミン)は、がん患者さんに是非とって頂きたいサプリメントです。
2.スルフォラファン
スルフォラファンは、ブロッコリー(とくにブロッコリーの芽)、ケール、芽キャベツなどアブラナ科の野菜に含まれる栄養素(ファイトケミカル)です。
スルフォラファンには強力な抗酸化作用があり、がんの予防や治療に有効であることが報告されています。
この強力な抗がん作用をもつスルフォラファンですが、じつは「がん幹細胞」を抑制することが報告されています。
例えば、
■スルフォラファンはHedgehog(ヘッジホッグ)経路を阻害することによって膵臓がんの「がん幹細胞」を抑制することが示されています(PLoS One. 2012;7(9):e46083)。
また最近、
■スルフォラファンが肺癌の「がん幹細胞」を抑制すること(Oncotarget. 2017 Feb 14;8(7):12067-12080)
■スルフォラファンがトリプルネガティブ乳がんの「がん幹細胞」を殺傷することによって、抗がん剤治療の効果を高める(Cancer Lett. 2017 May 28;394:52-64)ことが報告されています。
このように、スルフォラファンは「がん幹細胞」を抑制する抗がんサプリメントといえるでしょう。
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3.クルクミン
ウコンの成分であるクルクミンの抗がん作用については、これまでも紹介してきました。
最近の報告では、
■クルクミンの併用が、大腸がんの肝転移モデルにおいて「がん幹細胞」を抑制することによって、抗がん剤(オキサリプラチン/5-FU)の効果を高めること(Cancer Lett. 2015 Aug 10;364(2):135-41)
■クルクミンが肺癌の「がん幹細胞」を標的にして、自己複製能を抑制すること(Anticancer Agents Med Chem. 2017;17(6):859-864)など、「がん幹細胞」に対する効果が報告されています。
このように、クルクミンの抗がん作用には、以下のような多様なメカニズムがあると考えられます。
■ 抗酸化・抗炎症作用
■ がん細胞の増殖シグナル( NF-kB活性、ERK1/2など)を阻害
■ がん細胞に対する細胞死(アポトーシス)の導入作用
■ 血管新生(がんの成長に不可欠な、新たな血管を引き寄せる作用)の阻害
■ がん幹細胞を抑制する作用
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4.カテキン
緑茶の成分であるカテキン(エピガロカテキン 3-ガラートまたはEGCG)には抗酸化作用や抗血管新生作用があり、がん細胞の増殖抑制効果や転移阻害作用が示されています。
最近、このカテキンにがん幹細胞を抑制する作用が報告されました。例えば、
■カテキンが、大腸がんの「がん幹細胞」を抑制することによって、抗がん剤(5-FU)に対する感受性を高めることが細胞および動物実験にて示されています(Oncotarget. 2016 Mar 29;7(13):16158-71)。
また、
■カテキンが肺癌のWnt(ウィント)経路を阻害することで、「がん幹細胞」を抑制することが示されています(Biochem Biophys Res Commun. 2017 Jan 1;482(1):15-21)。
緑茶に含まれるカテキンは身近な成分だけに、ぜひ毎日の食生活に取り入れたいですね。
5.レスベラトロール
レスベラトロールは、赤ワインやブドウの皮に含まれているポリフェノールの一種で、強力な抗酸化作用をもっています。
動物を用いた実験では、レスベラトロールによって寿命が延びることが示されており、アンチエイジングのサプリメントとしても有名です。
レスベラトロールにはがん抑制作用があることが分かっていますが、そのメカニズムの1つとして「がん幹細胞」に対する作用も報告されています。
例えば、
■レスベラトロールは、人および遺伝子改変マウスの両方において、膵臓がんの「がん幹細胞」の表現系(性質)を抑制すること(PLoS One. 2011 Jan 31;6(1):e16530)
や、
■レスベラトロールは乳がんの「がん幹細胞」を抑制することが報告されています(Breast Cancer Res Treat. 2011 Nov;130(2):387-98、PLoS One. 2014 Jul 28;9(7):e102535)。
これらの報告から、レスベラトロールはアンチエイジングだけでなく、がん幹細胞をターゲットとしたサプリメントとして期待されています。
まとめ
以上、ビタミンD、スルフォラファン、クルクミン、カテキン、そしてレスベラトロールは「がん幹細胞」を抑制する可能性があるサプリメントです。
これらのサプリメントを上手に利用し、がんの再発・転移を防いで根治を目指しましょう!
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