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たばこの喫煙は膵臓がんの死亡率上昇と関連:大規模前向き研究から

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受動喫煙防止策により、飲食店などでの全面禁煙化がすすんでますね。たばこの健康被害は甚大ですから、国民の健康にとっては喜ばしいことです。私も以前たばこを吸ってましたが、もうやめて20年くらいになります。

さて、喫煙は膵臓がんの発症率を高める危険因子の1つとして知られています(詳しくはこちらの記事をどうぞ「膵臓がんは予防できるの?大切な3つのキーワード:禁煙、節酒、マグネシウム(ナッツ)」)。

一方で、喫煙が膵臓がん患者さんの予後(生存率)に与える影響についは、これまでしっかりとしたエビデンスはありませんでした。

今回、アメリカからの大規模な前向き試験において、たばこの喫煙と膵臓がん患者の生存率との関係が明らかとなりました。

喫煙で膵臓がんの生存率低下

アメリカの研究者らは、2つの大規模な前向きコホート研究の参加者から、1986年から2013年までに膵臓がんと診断された1037人について、診断前の喫煙の状態と生存との関係を調査しました。

Cigarette Smoking and Pancreatic Cancer Survival. J Clin Oncol. 2017 Mar 30:JCO2016712026. doi: 10.1200/JCO.2016.71.2026. [Epub ahead of print]

なお喫煙状態に関しては、患者による自己申告と同時に、診断前の血中コチニン(ニコチンの代謝物)濃度によって、ノンスモーカー(< 3.1 ng/mL)、ライトスモーカー(3.1-20.9 ng/mL)、およびヘビースモーカー(> 20.9 ng/mL)に分類しました。

喫煙と生存率との関係を、コックス比例ハザードモデルを用いて調べ、他の因子(年齢、性別、人種、体格指数、糖尿病、診断年、およびがんのステージ)で調節を行いました。

結果を示します。

■ 喫煙者(current smokers)では、非喫煙者(never smokers)に比較して死亡率が37%(ハザード比(HR)1.37)も上昇していました(下図)。

たばこと膵臓がん予後

■ たばこの喫煙量(pack-years of smoking)が増加するほど、生存率が有意に低下していました。
■ 血中コチニン濃度によって定義されるヘビースモーカーでは、ノンスモーカーに比べて死亡率が76%(HR 1.76)も上昇していました。
■ さらに、診断の5年以内の血中ニコチン濃度測定によるヘビースモーカーでは、ノンスモーカーに比べて死亡率が147%(HR 2.47)も上昇していました。

以上の結果より、喫煙は膵臓がんの生存率低下と関連していることが示されました。

特に、がんと診断される5年以内にたくさん吸っていた人では、非喫煙者に比べて死亡リスクがおよそ2.5倍にも跳ね上がるという怖いデータです。

禁煙しましょう!

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今回の大規模な研究結果は、喫煙は膵臓がんの発症率を高めるだけではなく、膵臓がんになった場合の死亡率まで高めるというデータでした。

つまり、ただでさえ予後の悪い膵臓がんですが、喫煙者(とくにヘビースモーカー)ではさらに悪くなることが予想されます。

禁煙の方法

■ 勇気を出して禁煙外来へかよう(一番のオススメ)

■ 家族やまわりのみんなに禁煙することを宣言し、自力でやめる

■ 禁煙ガム(ニコレット)で徐々にやめる

■ 近所の禁煙サークルに所属する

愛煙家のみなさん、「東京オリンピックまでにやめる」といわず、今日から禁煙にチャレンジしてみませんか?

 


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  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

医師(産業医科大学 第1外科 講師)、医学博士。消化器外科医として診療のかたわら癌の基礎的な研究もしています。 標準治療だけでなく、代替医療や最新のがん情報についてエビデンスをまじえて紹介します。がん患者さんやご家族のかたに少しでもお役に立てれば幸いです。

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