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抗がん剤治療(化学療法)を長くつづけるコツ:副作用対策と日常生活でできること

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分子標的薬など、より効果の高い抗がん剤の登場によって、がん化学療法の選択肢は確実に増えています。

今や、一次治療(初回の抗がん剤治療)だけでなく、その先の二次治療、三次治療を考えることも一般的になってきました。

これに伴って、長期にわたって抗がん剤治療を受ける患者さんも多くなってきました。

抗がん剤治療の効果(成否)には、もちろん「その薬が効くかどうか」が重要なのは言うまでもありませんが、同時に「いかにいい状態で、治療を継続することができるか」にもかかっています

たとえ効果が高い抗がん剤であっても、副作用がひどくて治療に耐えられない、あるいは体力の低下が進行する場合、治療を中止せざる終えないこともあるのです。

そこで、今回は抗がん剤治療(化学療法)をできるだけ長くつづけるコツについて解説します。

副作用の対策(医師に相談+セルフケア)

抗がん剤が中止となる最大の原因は副作用です。

副作用の程度は患者さんによって違いますが、なかには薬やセルフケアである程度、軽くできるものがあります

まずは副作用について主治医に報告し、対処法がないか聞いてみましょう。我慢する必要はありません。

代表的な副作用に対する対策(セルフケアも含む)について過去の記事から紹介します。

吐き気

  • 環境を整える(部屋の換気、匂いの強い物を避ける)
  • マッサージ(足のマッサージなど)
  • 指圧:内関(ないかん)
  • TENS(経皮的末梢神経電気刺激)
  • しょうが(ホットジンジャーなど)
  • イメージ療法(瞑想)
  • 音楽療法

食欲不振

  • 内服薬(漢方薬)
  • 軽い運動(ウォーキングなど)
  • 便秘の解消

便秘

  • 下剤・浣腸
  • 規則正しい生活習慣
  • トイレの時間の確保(時間をきめて、ゆっくりと)
  • 適度な運動、ストレッチ、ヨガなど
  • 腹部のマッサージ
  • ハーブティーなど

むくみ(リンパ浮腫)

  • 栄養状態・貧血の改善
  • 利尿剤(りにょうざい)
  • マッサージ
  • 軽い運動
  • 患肢(むくんだ手足)の挙上
  • ストッキング

体力を維持する(とくに筋力)

抗がん剤治療中には、筋肉量の減少がおこることがあります。

これは、食欲の低下によって食事量(特にたんぱく質の摂取量)が減ったり、疲労感などから活動性(運動量)が低下したり、あるいは代謝異常などが原因であると考えられています。

消化器がん(食道がん、胃がん、膵臓がん等)の患者さん225人を対象とした研究によると、3ヶ月以上の抗がん剤治療によって平均で1kgもの筋肉(骨格筋)が失われたとのことです。

この筋肉量の減少は、予後不良(生存率の低下)のサインであるという研究報告がいくつかあります。

したがって、できるだけ抗がん剤治療中の筋肉量の低下を防ぐ必要があります

現時点で考えられる筋肉量を維持するための方法を紹介します。

  • 運動(有酸素運動+レジスタンス運動(ダンベル運動やスクワットなどの筋トレ))
  • 食事(タンパク質を体重1kgあたり1.2~1.5gを目標)
  • サプリメント(BCAA(ロイシン)、HMB、オメガ3不飽和脂肪酸)

栄養状態を維持(食事に気をつかう)

抗がん剤治療中には吐き気があったり、お腹の調子がくるったり、あるいは食欲不振がつづくこともよくあります。

このような時期を乗り切る体力や免疫力を養うためにも、食事による栄養摂取はとても重要です。

できるだけ栄養のバランスのとれた食事を心がけましょう。とくにタンパク質をしっかり摂れるように工夫しましょう

全く食欲がない日には、以下のような栄養補助食品などを利用するのもいいでしょう。

こちらの本も参考になります。

きつい時はゆっくり休む

抗がん剤治療を開始した当初はとくに倦怠感が強く、動くだけでもきつい時があります。

また、点滴をした当日や、その後2~3日間は調子が悪いという患者さんも多いです。

きつい時にはゆっくりと休息をとることが大切です。とくに夜はしっかりと睡眠時間を確保してください。

ただ、毎日寝たきりのように過ごしていると体力(筋力)が落ちてしまいますので、数日休んで回復したら、しっかりと体を動かすようにしましょう。

治療スケジュールに固執しない(変更について主治医と相談する)

抗がん剤治療には、決まったスケジュール(レジメン)があります。

例えば、「2週間に1回の点滴を繰り返し」だったり、「3週間連続で点滴をして、次の週は休み」、あるいは、飲み薬の場合、「4週間毎日飲んで、その後の2週間は休み」といった具合です。

ところが、実際には副作用や倦怠感などで、このスケジュール通りにいかないことも度々あります。

もちろんスケジュール通りに受けることが理想ではあります。

しかし、無理をして中止になってしまうよりも、スケジュールを変更してでも続けるほうが良い場合もあります

点滴であれば、2週間に1回のところを3週間に1回にしてみたり、飲み薬であれば4週間連続のところを2週間に減らしてみるといったことです。

ですので、もし最初に設定された投与スケジュールがきついと感じる人は、主治医とスケジュールの変更について相談してもよいと思います

また、家庭の大切な用事(お祝い事や旅行)などでスケジュールを変更したいときには遠慮せずに主治医に問い合わせてください。

1週間治療を延期あるいはスキップしたからがんが突然進行することはありません。

それよりも、大事なイベントを優先させることの方が重要です

頑張り過ぎす、無理をせず、「抗がん剤とうまくつきあう」といったスタンスでいいんです。

 

以上です。

まとめ

抗がん剤治療(化学療法)をできるだけ長くつづけるコツをまとめると、

  1. 副作用の対策(医師に相談+セルフケア)
  2. 体力を維持する(とくに筋力)
  3. 栄養状態を維持(食事に気をつかう)
  4. きつい時はゆっくり休む
  5. 治療スケジュールに固執しない(変更について主治医と相談する)

です。

以上のことを心がけ、できるだけ「いい状態」で抗がん剤治療を続けることができるようにしましょう。

  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

医師(産業医科大学 第1外科 講師)、医学博士。消化器外科医として診療のかたわら癌の基礎的な研究もしています。 標準治療だけでなく、代替医療や最新のがん情報についてエビデンスをまじえて紹介します。がん患者さんやご家族のかたに少しでもお役に立てれば幸いです。

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